輝く女性や企業情報を発信していくレポートのページ。
第ニ回は、石川県能美市の株式会社ルバンシュで化粧品開発を担当されている徳田澄美さん。
ルバンシュは天然由来を原料とした、人や環境にやさしい化粧品を作っている会社です。
徳田さんの仕事に対するこだわりや、スキンケアについて、おうかがいしました。


Vol.02
Beauty
株式会社 ルバンシュ
revanche
2018.04.25
Sumi Tokuda
CHAPTER /
01
苦労した分だけ、喜びも大きい


主に化粧品の新製品開発を行っています。
当社は、メインとなる成分だけでなく、防腐剤や界面活性剤など、消費者にはあまり知らされない成分にまで天然素材にこだわっており、文献にも記載されていない全く新しい処方開発となるので、新しい道を切り開いていく困難さに毎回苦労しています。
地元は石川県でしたが、大学院卒業後に関西のヘアケアメーカーの研究所へ勤めました。その後、三十代後半のころに石川へ戻ることになったんです。
地元でもヘアケアや化粧品に関する仕事をしたいなと思って、就職活動を行ないました。その際、地元の野菜や果物を用い化粧品を作っている当社に出会ったのです。
「果実エキスで洗う」をコンセプトに開発した、シャンプー&トリートメントですね。スキンケアと同じように、頭皮をすこやかな状態へ保つことを目的に作りました。
ドラッグストアなどで販売されているシャンプーやトリートメントは、コストを重視しなければならないこともあり、石油由来の成分で作られた製品が多いです。石油由来のものは泡立ちが良く、洗浄力も強い。それを当社のコンセプトである天然由来の成分だけで、どこまで市販品と同レベルまでもっていけるか。
いくら体にやさしいと言っても、きちんと泡立ったり潤いを与えたりといった基本性能は必要ですよね。その課題を解決するのはすごく難しかったです。
「やったー!」と思わず声がでるほど嬉しかったですよ。開発ではみんな自分の髪で試しながら、何度も試行錯誤を繰り返すんです。その努力が報われた瞬間でした。
特に今は市場の製品が細分化していて、消費者の方も選択に迷われると思います。弊社は明確なコンセプトを持って開発しているので、これからもそれをきちんと打ち出していきたいですね。
CHAPTER /
02
「まじめ」に製品開発をしていく


化粧品は口に入れるものではありませんが、触った手で食品を扱ったり赤ちゃんに触れたりします。そのため当社では、多くの商品を100%食用成分で製造しています。
実際、開発段階では、自分の舌で味見をしています。舌に強い刺激を感じれば、別の原料へ変えることを検討します。舌の神経が持つ繊細さで製品の安全性を確認しているのです。
ただし「安心できる」というだけでは、誰も使ってくれません。「効果効能がきちんとあり、なおかつ食べられるほど安心感がある」それがルバンシュの製品のポイントです。
石川県産の素材は積極的に使用しています。加賀野菜の金時草や加賀太きゅうり、あとは能登の海洋深層水などを使っています。地元の素材を率先的に使っていけるのも、大手企業にはなかなかできないウチの強みだと思います。
当社の開発姿勢は、「まじめ」のひとこと。化粧品業界には防腐剤フリーという表現がありますが、天然原料を腐敗させないため、少量の石油系防腐剤が原料に含まれているものがあります。これは「キャリーオーバー制度」と言いまして、化粧品メーカーの判断により、製品の成分表示から外せるものです。この天然原料に隠された石油系防腐剤の抗菌力を利用し、新たに防腐剤を配合する必要がないため、「防腐剤フリー」と表示し販売することができるという、ちょっとしたからくりがあります。
ルバンシュはそういった抜け道を悪用することなく、防腐剤も天然にこだわるなど潔く製品開発を行なっています。まじめに肌にとって必要だと思う成分で妥協せずに作る。
社員全体で試作品を試して、全員のOKをもらえないと商品化できないという決まりもあります。関係性が近い分、審査基準はすごく厳しいですよ。そうして期間を定めず納得のいくまで研究を重ね、安心できる製品を生み出しているのです。
CHAPTER /
03
一番のケアは、日焼けしないこと


子どもと一緒に公園などで遊ぶことです。
それはもう、日焼け止めをしっかり塗っています(笑)。化粧品の仕事をしていて常々思うのは、紫外線に当たらないことが一番のスキンケアということ。外へ出かける時には帽子をかぶって、日焼け止めを塗って、しっかりとガードしていますよ。それと同じぐらい大切なのは、保湿ですね。
これまで色々な製品を開発してきて、一通りやりたいことはやってきたという感じがしています。その中にあって思うのは、長く愛されるベストセラーを作りたいです。
当社で言えば発売以来、100万本以上を売り上げているベジタブルリップのような。そういったものを手がけてみたいですね。
化粧品開発というのは、ごまかしたり妥協したりすることが大きな信頼低下へつながる仕事です。自分の望む研究結果がなかなか出なくて苦しくなっても、「誠実に仕事をする」というのをモットーにしています。
そうして苦労して製品を市場へ出した結果、お客様から「使ってみて、すごく良かったよ」と言ってもらえるのが何よりも嬉しいんです。感想をいただいて、言葉が自分の胸へと染み込んでいく。そういった瞬間だと思います。
(250mL/2,160円税込)
天然由来成分100%でノンシリコンのシャンプーです。
豊かな泡立ちで洗い上がりはなめらかな指通り。フルーツエキスが頭皮と髪のうるおいを守りながら優しく洗います。
リラックス感のあるラベンダーと優雅なゼラニウムの香り。
○フルーツトリートメント
(250g/2,160円税込)
天然由来成分100%でノンシリコンのトリートメントです。
アボカドオイルや椿オイルなどの植物成分を配合。髪にうるおいを与えて、柔らかでツヤのある髪に導きます。
リラックス感のあるラベンダーと優雅なゼラニウムの香り。

SUMI TOKUDA
徳田 澄美
石川県金沢市出身。
大学院卒業後、ヘアケアメーカー研究所に勤務。その後、「肌に良くそれでいて人にはもちろん自然環境にもやさしい」をモットーに基礎化粧品及び医薬部外品の製造及び販売を行なっている㈱ルバンシュへ入社。現在、スキンケア、メイク、ヘアケアなど様々な製品開発を手掛ける。